東京心霊スポット体験談 NO.24



 八王子城跡(6)






投稿者 unit507@J-GUY'S  様



俺は営業マンなんですが、休憩時間は自由に設定出来ます。

小雨のそぼ降る中、高尾への顧客事務所への行程半ばにある、

八王子城址跡の砂利道に車を停め、左右の窓を少しだけ開き、

リクライニングしたシートへ横になって眼を閉じていました。

運転の疲れもあり、うつらうつらしてると、

じゃっ、じゃりっ…

玉石を踏み歩く音が近づいてきます。

意識が落ちる前に我に返り、眼を開けずに音だけに注意していました。

音が近づくにつれ、嫌な事に気付きました。

フロントグラスや車体を叩く雨音はするのに、砂利を鳴らす足音の他に傘を叩く音がしない。

その人達は、傘をさして無いんですね。

その内に左手の崖下の笹藪も激しく音を立て、こちらへ掻き分けながら近づいてくるものがあります。

眼を閉じて、聴覚が鋭くなっているせいか、

音を立てる者達が、この車を目掛けてやってくる事がわかりました。

やがて、雨音以外の全ての音が、車のすぐ脇で止まりました。

雨音の中で、俺は眼を開けずに周囲に気を張ってました。

判るんですよ、見られてるのが。

もの凄い数の視線を感じる。

息が詰まる中、眼を閉じながら睨み合いの状態が続きました。
やばいな…逃げられない。

突然、沈黙を破る様におばちゃん達の話し声が聴こえてきたので、

眼を開けて一気にその場を離れました。

全身がびっしょり汗に濡れていました。

あそこがかなり有名な心霊スポットと知ったのは数日後でした。

眼を開けなくてよかった。







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